統合失調症患者における抗精神病薬単独療法を中止するまでの期間について、イタリア・ミラノ大学のMassimiliano Buoli氏らは、36ヵ月のフォローアップ研究により比較検討を行った。Human psychopharmacology誌2016年7月号(オンライン版2016年6月13日号)の報告。

対象は、ミラノ大学とオランダ・ユトレヒト大学の精神科外来において抗精神病薬単独療法でフォローアップされた統合失調症患者220例。36ヵ月のフォローアップ期間の生存分析(Kaplan-Meier)は、単一治療群と比較した。エンドポイントは、再発、副作用、ノンコンプライアンスによる治療中止とした。

主な結果は以下のとおり。

・ハロペリドール治療群は、他の治療群と比較し中止率が高かった(リスペリドン:p<0.001、オランザピン:p<0.001、クエチアピン:p=0.002、クロザピン:p<0.001、アリピプラゾール:p=0.002)。
・有効性の欠如による再発が、オランザピン群よりもハロペリドール群で、より高頻度な理由であった(p<0.05)。
・錐体外路系副作用(EPS)は、オランザピン群よりもハロペリドール群で、より高頻度であった(p<0.05)。
・オランザピン群は、他の治療群よりも体重増加がより高頻度であったが、統計学的な有意差は認められなかった。

著者らは「非定型抗精神病薬治療群は、ハロペリドール治療群よりも、より長く薬物療法が継続できると思われる。また、非定型抗精神病薬は、ハロペリドールよりも再発に対し保護的であると考えられる。しかし、これらの結果は、潜在的な交絡因子に照らし合わせて慎重に解釈すべきである」としている。

出典

Buoli M, et al. Hum Psychopharmacol. 2016;31:325-331.