電気けいれん療法(ECT)は双極性障害や大うつ病などの気分障害の治療において有効な手段のひとつである。また、統合失調症の緊張型、重症なうつ病、躁病、その他の感情障害に対して有効な治療法でもある。イタリア、ラ・サピエンツァ大学のMaurizio Pompili氏らは統合失調症患者に対するECTの短期的および長期的な効果や薬物療法との比較を行い、ECT適応患者を明らかにしようと試みた。Schizophrenia research誌オンライン版2013年3月14日号の報告。

ECTが施行された統合失調症患者に関する文献より系統的レビューを行った。ピアレビュー誌より31報が同定され、最も関連性の高い報告が本レビューのために使用された。

主な結果は以下のとおり。

・統合失調症患者に対するECT使用の最も一般的な適応は、薬物療法の強化であった。また、適応患者の随伴症状は、緊張病症状、攻撃性、自殺企図の順で多かった。
・緊張型の患者では、統合失調症の他のサブタイプをもつ患者と比較し、ECTへの反応が有意に優れていた。
・薬物療法とECTの併用は、薬物療法耐性患者に対し有用である可能性がある。
・従来の薬物療法耐性患者に対し、ECTとリスペリドン、またはECTとクロザピンの併用が最も効果的であった。
・薬物療法耐性を示す緊張型、攻撃性、自殺企図を有する統合失調症患者に対し、急速な改善が必要な場合にECTと抗精神病薬との併用療法が推奨される。

出典

Pompili M, et al. Schizophr Res. 2013 Mar 14. pii: S0920-9964(13)00097-2. [Epub ahead of print]