注意欠如多動症(ADHD)に地域特性はどのような影響を及ぼすのか。米国・カリフォルニア大学のNooshin Razani氏らは、個人的および家族的要素を加味したうえで、ADHDと地域の社会的・物理的特性との関連について調査した。Journal of attention disorders誌オンライン版2014年7月15日号の報告。

2007年の全米小児健康調査データを使用した(n=64,076)。検討にあたっては、3つの地域スケールを設定した[社会的支援、設備(amenities)、秩序の乱れ(disorder)]、ロジスティックおよび順序ロジスティック回帰を用い、個人や家族の特性を調整したうえで、これらのスケールとADHDの診断および重症度との関連を調査した。

主な結果は以下のとおり。

・ADHD児は8%であった。重症度別にみると、軽度47%、中等度40%、重度13%であった。
・調整モデルでは、地域サポートの低さはADHDの診断増加(OR=1.66 [1.05~2.63])や、重症度(OR=3.74 [1.71~8.15])と関連していた。地域の設備や秩序の乱れとの有意な関連は認められなかった。
・親のメンタルヘルスが悪いことは、ADHDの有病率および重症度と関連していた。
・地域の社会的サポートは、ADHD児やその保護者にとって重要な介入方法である可能性が示唆された。

出典

Razani N, et al. J Atten Disord. 2014 Jul 15. [Epub ahead of print]