統合失調症は、早期発症例と遅発例とでは臨床的特徴に違いがあることが明らかとなっている。しかし、これらの相違の根底にある神経メカニズムに関してはほとんどわかっていない。産業医科大学の江頭 一輝氏らは、早期発症例と遅発例の統合失調症患者における形態学的異常を比較した。その結果、今回得られた知見は統合失調症の病態生理学的な理解を改善し、早期発症例と遅発例の神経生物学的な基盤の相違や共通点を明らかにするものである、としている。Neuropsychobiology誌オンライン版2014年10月24日号の報告。
早期発症統合失調症患者24例、遅発性統合失調症患者22例、健常者41例を対象にMRI検査を実施した。脳画像は、SPM8においてVBM(voxel-based morphometry)のためDARTEL法にて前処理をし、分析を行った。全脳解析で診断の主要な影響を検討し、3群間の結果を比較した。また、局所容量と臨床的変数の相関分析も行った。
主な結果は以下のとおり。
・遅発例では、早期発症例や健常者と比較して、左楔前部の灰白質容量が大きかった。
・統合失調症患者では、健常者と比較して、右島、左上側頭回、左眼窩前頭回における灰白質容量の減少を示した。
・早期発症例における罹病期間の長さは、側頭極の灰白質容積の減少と関連していた。
出典
Egashira K, et al. Neuropsychobiology. 2014 ; 70: 142-151. [Epub ahead of print]