認知症は患者の実体験に影響を及ぼす重大な疾患にもかかわらず、症状変動に関する研究報告はレビー小体型認知症を除けば少ない。カナダ・ダルハウジー大学のKenneth Rockwood氏らは、アルツハイマー病(AD)および混合型認知症患者における症状変動の特徴を明らかにするため質的検討を行った。International psychogeriatrics誌オンライン版2014年2月24日号の報告。
対象は地域住民患者52例(女性:30例、年齢:39~91歳、軽度認知症:26例、ADが主体の認知症患者:36例)。対象患者の調子のよい日、悪い日(good days/ bad days)を記載した情報を含む健康記録の定性分析を行った。
主な結果は以下のとおり。
・調子のよい日/ 悪い日は、ほとんどの場合、主な症状の変化(たとえば反復言語の少/多)と同様に観察された。
・その他のケースでは、調子のよい日のみ、または悪い日のみで観察された。たとえば、ユーモアセンスは調子の悪い日はないが、良い日はユーモアセンスが良い。
・概して、調子のよい日は、全体的な認知、機能、興味、イニシエーションの改善と関連していた。
・調子の悪い日は、頻繁な反復言語、物忘れ、興奮症状や他の破壊的行動の増加と関連していた。
著者らは、「ADおよび混合型認知症患者では、臨床的に重要な症状変動が一般的に起こる。調子のよい日を増やすことは、悪い日の増減ほど簡単ではないが、よい日を促進・喚起し悪い日を減らす要因について、より詳細な調査することが、認知症患者や介護者のQOL改善に重要である」とまとめている。
出典
Rockwood K, et al. Int Psychogeriatr. 2014 Feb 24. [Epub ahead of print]