認知症は軽度認知障害(MCI)から始まり、徐々に認知機能が低下していくため、認知症を予防するためのひとつの方法として、MCIの段階でいかに対処していくかが重要であると考えられる。Summers氏らはMCI症例に対する神経心理学的アプローチに関する検討を行った。Neuropsychology誌2012年7月号の報告。
MCIの各サブタイプに分類される高齢者81名と健常者25名の計106名を対象に、視覚機能、言語記憶、注意処理機能、遂行機能、ワーキングメモリー、意味記憶の個々の結果をもとに、20ヵ月の縦断的な神経心理学的評価を行った。
主な結果は以下のとおり。
・20ヵ月後、MCI群の12.3%が認知症へ進行、62.9%がMCIの状態を維持、24.7%がMCIから健常レベルに戻った。
・判別関数を用いた分析では、試験開始前の神経心理学的テストの成績から86.3%の精度で20ヵ月後の結果を予測することができた。
・視覚および言語のエピソード記憶、短期記憶、ワーキングメモリー、注意処理機能の障害パターンによりMCI症例の予後を予測可能であることが示された。
出典
Summers MJ, et al. Neuropsychology. 2012; 26: 498-508.