睡眠障害の症状は、アルツハイマー病(AD)患者において、共通して認められる。しかし、AD患者の睡眠障害症状が、介護者の負担やQOLに及ぼす影響については、あまり知られていない。米国・ペンシルベニア大学のPhilip Gehrman氏らは、AD患者の睡眠障害の罹患率を明らかにし、介護者の負担やQOLを予測する症状を特定するため検討を行った。また、患者の睡眠障害の症状が介護者に及ぼす影響を他の介護者と比較し、介護者のQOLを予測する際の患者の特徴について検討を行った。Geriatric nursing誌オンライン版2017年7月3日号の報告。

介護者の負担は、Screen for Caregiver Burden(介護負担尺度)を用いて評価した。

主な結果は以下のとおり。

・患者の60%が、1つ以上の睡眠障害を有していた。
介護者と患者130組において、夜間覚醒、夜間徘徊、いびきが介護者の負担を予測していた。
多変量モデリングでは、介護者の負担、介護者の身体的および精神的健康、介護者の抑うつ症状が、介護者のQOL全体の予測因子であることが示唆された。

著者らは「患者の睡眠障害や介護者のメンタルヘルス症状を治療し、介護者の生活を改善することによって、公衆衛生上、大きなインパクトをもたらすと考えられる」としている。

出典

Gehrman P, et al. Geriatr Nurs. 2017 Jul 3. [Epub ahead of print]