認知症は、機能低下や認知機能低下を特徴とする進行性の神経変性疾患である。英国において、認知症者への終末期ケアの質は良くないといわれている。認知症者へのケアに関して、たとえば合併症のマネジメントのために、終末期においていくつかの困難な決断が生じることがある。英国・ロンドン大学のKethakie Lamahewa氏らは、認知症者の終末期における医師や家族の介護者による意思決定の困難さについて検討を行った。Health expectations誌オンライン版2017年6月22日号の報告。

本検討は、フォーカスグループ、半構造化インタビュー、主題分析法を用い、定性的方法で実施した。2015年英国認知症ボランタリーグループより認知症者の終末期ケアの経験を有する家族の介護者4人、現在認知症者の終末期ケアを行っている家族の介護者6人を対象とした。認知症の終末期ケアにおける幅広い専門知識と経験を有する医療従事者24人をサンプルとして抽出した。

主な結果は以下のとおり。

・4つの主要テーマが以下のように特定された。
◆ダイナミックなシステムで一貫したケアを提供することへの課題
◆意思決定者間の不確実性
◆意思決定者間の内面的、外面的な葛藤
◆終末期への準備不足

・認知症者や意思決定者自身の役割に対するコミュニケーション不足、不確実性や葛藤などの重大な困難は、終末期における意思決定を特徴づけることができる。

著者らは「本研究は、認知症者の終末期において、意思決定が改善される可能性があることを示唆している。認知症の初期段階において、より多くの会話によるアプローチを進めることで、終末期に対する準備と家族介護者の期待を高めることができる」としている。

出典

Lamahewa K, et al. Health Expect. 2017 Jun 22. [Epub ahead of print]