統合失調症やうつ病は自殺の主要なリスクファクターである。とりわけ、中年や高齢者の統合失調症患者による自殺は、社会的な問題ともなっている。しかし、年齢とうつ症状から自殺リスクを予測できるかは、まだわかっていない。米国 Kasckow氏らは統合失調症および閾値下うつ病患者におけるうつ症状と自殺念慮との関係に、年齢がどう関わるかを検討した。Am J Geriatr Psychiatry誌オンライン版2012年9月18日号の報告。

閾値下うつ病(Subthreshold Depression)とは、うつ病の診断基準を満たさないレベルの軽度抑うつ状態で、将来うつ病を発症する危険因子と考えられている。

対象は統合失調症または閾値下うつ病の39歳以上の外来患者213例。自殺念慮はInterSePTスケール、臨床全般印象-自殺重症度評価スケールにて評価した。うつ症状はカルガリーうつ病評価尺度で評価した。自殺念慮の予測には、抑うつ症状と年齢との関係について線形回帰を用い評価した。

主な結果は以下のとおり。

・抑うつ症状は自殺念慮の予測因子であった。
・どの年代でも、年齢別抑うつ症状は自殺念慮の予測因子であった。
・自殺念慮の予測には、すべての年代において、抑うつ症状を評価することが重要である。

出典

Kasckow J, et al. Am J Geriatr Psychiatry. 2012 Sep 18. [Epub ahead of print]