統合失調症患者は抗精神病薬で治療されるが、多くの場合、抗不安薬の併用が行われている。東京医科大学の岡本 彩子氏らは、定型、非定型抗精神病薬、抗不安薬、非向精神薬を服用中の統合失調症患者における口腔内乾燥症を評価するため、口腔水分計を用いて調査を行った。Journal of clinical pharmacy and therapeutics誌オンライン版2016年9月24日号の報告。

患者は、北里大学東病院および関連病院の精神科において、ICD-10基準に従って、統合失調症と診断された。すべての患者に向精神薬が処方されていた。一次性シェーグレン症候群のような口腔乾燥症に関連する疾患を有する患者は除外した。

主な結果は以下のとおり。

・127例が登録された。
・平均口腔水分値は、27.81±2.27%(正常値:30.0%以上)であった。
・客観的な口腔水分値と主観的な口渇との間に有意な関連が認められた。
・多変量解析では、抗精神病薬、とくに抗不安薬の数と口腔水分の程度との間に負の相関が認められた。
・薬物投与量自体には、口渇との有意な相関は認められなかった。

著者らは「客観的な口腔水分測定では、向精神薬服用中の統合失調症患者は、口腔水分の減少が認められ、口腔水分の程度は、向精神薬の投与量ではなく、数と負の相関を示した」ことから、「歯科医は、統合失調症患者が来院した場合、口腔水分を評価し、薬が服用されているか判断すべきである。そして、口腔乾燥と多剤併用の関連性の知見に基づき、積極的な口腔乾燥症管理を行うよう、精神科医に情報提供すべきである」とまとめている。

出典

Okamoto A, et al. J Clin Pharm Ther. 2016 Sep 24. [Epub ahead of print]