医師からの推奨は、医療の意思決定を行う際、不可欠な要素である。しかし、意思決定プロセスのどの時点で行うことが最も良いのか、患者に悪影響を与えないかについては不明なままである。ドイツ・ミュンヘン工科大学のJohannes Hamann氏らは、これらの疑問に対し、統合失調症患者を対象とした検討を行った。BMJ open誌2016年9月16日号の報告。
仮説の意思決定ビネットを含む実験研究を行い、3条件(アドバイスなし、早期アドバイス、後期アドバイス)での医師からの推奨が、患者の意思決定へ及ぼす影響を比較した。ドイツの精神科病院21施設より、統合失調症患者208例が参加した。主要評価項目は、予備試験において多くの患者が好ましくないとした、各条件下でのオプションを選択する患者数とした。副次的評価項目は、患者満足度と誘導抵抗とした。
主な結果は以下のとおり。
・後半アドバイス患者49例では、他の条件下と比較し、自身の好みに反したアドバイスをより頻繁に受け入れた(早期アドバイス患者36例:p=0.024)。
・患者にアドバイスを与えることは、すべての医師にとって重要な業務の1つであり、意思決定共有の重要な要因であるが、これまでその影響を明らかにする実証的エビデンスはなかった。
・効果メカニズムは解明されていないものの、医師からのアドバイスを受けた時点はいつかが、統合失調症患者の判定行動に影響を及ぼすことが示された。
出典
Hamann J, et al. BMJ Open. 2016;6:e011282.