統合失調症に対してさまざまな集団精神療法が行われているが、その効果についてはほとんどわかっていない。英国・ロンドン大学クイーン・メアリー校のStavros Orfanos氏らは、集団精神療法の効果を評価するとともに、“集団効果”が治療強度、診断の均一性および治療方針と関連があるかどうかを検討する目的で、システマティックレビューを行った。その結果、統合失調症の治療において集団精神療法は陰性症状や社会的機能を改善しうることが認められ、その効果はさまざまな集団療法でみられ非特異的であることが示唆された。著者らは「将来的には集団療法の有効性のメカニズムを明らかにし、治療効果を最大化する方法を検討すべきである」とまとめている。Psychother Psychosom誌2015年6月号の掲載報告。
研究グループは、統合失調症患者を対象とした集団精神療法の無作為化比較試験について系統的に検索し、評価項目である症状スコアについてランダム効果モデルを用いたメタ解析を行い、集団精神療法群と通常治療群または偽集団療法群を比較するとともに、社会的機能については所見をまとめ、集団特性に関してメタ回帰分析を行った。
主な結果は以下のとおり。
・34件の無作為化比較試験が本レビューに組み込まれた。
・陰性症状の改善は、通常治療と比較した場合のみ集団精神療法が有意に優れていた(標準化平均差[SMD]=-0.37、95%信頼区間:-0.60~-0.14;p<0.01、I2=59.8%)。
・大多数の研究において、通常治療と比較した場合の治療成果として、社会的機能の改善が報告されていた。
・陰性症状に対する“集団効果”は、“治療強度”と正の関連を示した(β=0.32、標準誤差=0.121、p<0.05)。
出典
Orfanos S, et al. Psychother Psychosom. 2015; 84: 241-249.