寛解期の統合失調症患者は、そうでない患者と比較し、神経認知機能レベルが有意に高いことが知られている。しかし、これまでの研究では、寛解の時間的要素を考慮することなく、横断研究にて検討されていた。大阪大学の福本 素由己氏らは、時間的要素を考慮に入れたうえで、寛解と3つの認知機能(知力、記憶、注意)との関係について、縦断的な研究により検討を行った。Psychiatry and clinical neurosciences誌オンライン版2013年12月8日号の報告。
対象は、登録した337例の統合失調症患者のうち、追跡および評価可能であった63例。寛解状態は、同じ対象患者に対して登録時と6ヵ月後の2回、PANSSを用いて評価した。認知機能テストは、登録後3ヵ月以内に実施した。
主な結果は以下のとおり。
・寛解基準を満たした患者は33例、満たさなかった患者は30例であった。
・寛解患者はそうでない患者と比較し、Continuous Performance Testで2ケタレベル、3ケタレベルともに有意に高かった(各々 p=0.020、p=0.015)。また、ウェクスラー記憶検査改訂版の注意/集中(p=0.034)、ウェクスラー成人知能検査(WAIS)-IIIの処理速度(p=0.047)も有意に高かった。
・さらに、これらの認知スコアは互いに正の相関を示した(p<0.05)。
出典
Fukumoto M, et al. Psychiatry Clin Neurosci. 2013 Dec 8. [Epub ahead of print]