統合失調症患者の長期転帰を改善することは、重要な課題であり、さまざまな研究が行われている。しかし、過去の統合失調症における経過や転帰を研究した報告を比較するにあたっては、異なる診断システムが用いられていることにより限界があった。Lang FU氏らは、精神病理学的な観点から長期の転帰に焦点を当て、DSM-III、DSM-III-R、DSM-IV、ICD-10を用いたフォローアップ研究のレビューを行った。Acta psychiatrica Scandinavica誌オンライン版2012年11月9日号の報告。
2011年までに報告された統合失調症における経過や転帰に関する研究を、MEDLINE、コクラン比較試験レジスタ、EMBASE、PsycINFO、PSYNDEXで検索を行った。抽出された研究のうち、最終的には21報の研究が分析に用いられた。
主な結果は以下のとおり。
・統合失調症の長期転帰は不均一であり、完全寛解ならびに重度の慢性期患者が含まれていた。
・統合失調症では、統合失調感情障害や情動障害などの他診断群と比較し、非常に不利な結果が示された。
・精神病理学的症状は比較的安定していた。
・統合失調症患者における予後不良の予測因子は、男性、顕著な陰性症状であった。
・統合失調症患者の長期転帰に対する治療介入の影響は依然として不明なままである。
出典
Lang FU, et al. Acta Psychiatr Scand. 2012 Nov 9. [Epub ahead of print]