睡眠障害は、高齢者で多く見られ、とくに認知症リスクのより高い高齢者に多く認められる。しかし、これまでに、日中の睡眠における臨床的、医療的および神経心理学的な相関は検討されてこなかった。オーストラリア・シドニー大学のNathan Cross氏らは、アクチグラフィーを使用し、高齢者(とくに認知症リスクを有する高齢者)における昼寝の特徴や効果を調査した。Journal of sleep research誌オンライン版2015年6月21日号の報告。
対象は、認知症リスクを有する包括的医療、精神・神経生理学的評価を受けた高齢者133人(平均年齢:65.5歳、SD:8.4歳)。昼寝の睡眠習慣を測定するために、アクチグラフィーと睡眠日誌を使用した。
主な結果は以下のとおり。
・アクチグラフィーより、昼寝の睡眠習慣は83.5%(111/133人)の高齢者で認められた。しかし、持続時間や時間帯はまちまちであった。
・昼寝をする高齢者は、医療負担、BMIが有意に高く、軽度認知障害(MCI)のリスクが有意に高かった。
・より長く、より頻繁な昼寝は、認知機能の低さや抑うつ症状レベルの高さと関連していた。また、昼寝の時間帯は、夜間の睡眠の質(入眠後の、睡眠潜時や覚醒)と関連していた。
結果を踏まえ、著者らは「本研究では、認知症リスクを有する高齢者にフォーカスして調査を行ったが、昼寝は、うつや認知機能といった根底にある神経生物学的変化と関連していた。このことから、高齢者の精神・認知機能の転帰との関連を解明するためにも、昼寝の特徴をより定期的に観察する必要がある」とまとめている。
出典
Cross N, et al. J Sleep Res. 2015 Jun 21. [Epub ahead of print]