抗うつ療法(ADT)を施行した日本人の大うつ病性障害(MDD)患者におけるアリピプラゾール補助療法を検討した無作為化プラセボ対照試験であるADMIRE研究において、アリピプラゾール補助療法はADT単独よりも優れ、忍容性も良好であったことが報告されている。名古屋大学の尾崎 紀夫氏らは、人口統計学的因子および疾患関連因子の影響、また各症状の改善とMDD全体の改善との関連についてサブ解析を実施した。Psychiatry and clinical neurosciences誌オンライン版2014年6月26日号の報告。
ADMIRE研究のデータを分析した。サブグループ解析は、一次評価項目である最終時点のMADRS合計スコアの平均変化量を用い実施した。
主な結果は以下のとおり。
・MADRS合計スコアの変化は、各サブグループにおいて、アリピプラゾール群ではプラセボ群と比較し一貫して大きかった。
・有効性に以下の項目は関連していなかった[性別、年齢、現エピソードに対する十分なADT施行数、MDD診断、うつ病エピソード数、現エピソードの期間、うつ病発症年齢、うつ病罹病期間、抗うつ薬(SSRI/SNRI)の種類および治療終了時点での重症度]。
・アリピプラゾール群ではプラセボ群と比較し、MADRAS10項目のうち悲しみ(sadness)を含めた7項目に対し、有意かつ迅速な改善を示した。
著者らは、これらの結果から「SSRI/SNRIで効果不十分な日本人MDD患者に対し、アリピプラゾール補助療法は有効であり、うつ病の主症状に対し大幅かつ急速な効果が期待できることが示唆された」としている。
出典
Ozaki N, et al. Psychiatry Clin Neurosci. 2014 Jun 26. [Epub ahead of print]