統合失調症に対する抗精神病薬の高用量投与について、良好な症状改善との関連および有害事象や神経認知機能に対する影響を、ギリシャ・テッサロニキ・アリストテレス大学のKonstantinos N Fountoulakis氏らが、小規模パイロット自然主義横断研究により評価を行った。Progress in neuro-psychopharmacology & biological psychiatry誌オンライン版2017年1月28日号の報告。

対象は、統合失調症入院男性患者41例。PANSS、カルガリー抑うつ評価尺度、UKU副作用評価尺度、SAS(Simpson-Angus Scale)、認知機能評価バッテリーにより評価した。薬剤、投与量は、治療者の臨床判断に従って行った。

主な結果は以下のとおり。

・臨床的変数および有害事象は、高用量群と推奨量群で差は認められなかった。
・高用量投与は、抑うつ症状と相関していたが、神経認知機能の低下と相関は認められなかった。

著者らは「抗精神病薬の推奨用量を超えた投与は、難治性患者の良好なレスポンスを達成可能であり、抑うつ症状や軽度な集中力の欠如に有効であるが、ほかの神経認知機能や錐体外路系副作用はない。現在臨床医は、高用量投与が必要な場合には、第1世代抗精神病薬を好むが、新規抗精神病薬の副作用プロファイルを考慮すると、新規抗精神病薬の高用量投与に関する研究を進めることが重要である」としている。

出典

Fountoulakis KN, et al. Prog Neuropsychopharmacol Biol Psychiatry. 2017 Jan 28. [Epub ahead of print]