成人、小児および高齢者における抗精神病薬の適応外処方について、フランス・リール第1大学のLouise Carton氏らはシステマティックレビューにて調査を行った。その結果、近年、適応外処方は広く行われており、その処方内容は患者の年齢層により異なること、使用理由としては治療に行き詰まった場合や承認薬がほとんどない特異的疾患におけるケースが多いことを明らかにした。一方で、その他の適応外処方は軽度な症状に対する処方を一時的に反映しているだけで、著者らは「安全性に対する懸念が生じる可能性がある」と指摘している。Current Pharmaceutical Design誌2015年7月号の掲載報告。
レビューは、PubMed、ScienceDirect databasesを介して、「適応外」+(「抗精神病薬」または「神経遮断薬」)をキーワードに論文検索が行われた。検索対象期間は2000年1月~2015年1月とし、英語で書かれた薬剤疫学的な研究のみを適格とした。
主な結果は以下のとおり。
・77本の適格論文が特定された。
・成人において、適応外処方(OLP)は、すべての抗精神病薬処方の40~75%を占めていた。
・OLP処方における主な症状は、気分障害、不安症、不眠症、興奮であった。
・クエチアピンは、とくに不安と不眠症に対して最も頻度が高いOLPであった。
・小児において、OLPはすべての抗精神病薬処方の36~93.2%にわたっていた。
・主に使用されていたのはリスペリドンとアリピプラゾールで、注意欠如・多動症、不安または気分障害に処方されていた。
・高齢者において、OLPはすべての抗精神病薬処方の22~86%を占めていた。
・抗精神病薬OLPは、とくに興奮に対する頻度が高かった。しかしながら、このOLPは最近、減少していることが確認された。
出典
Carton L, et al. Curr Pharm Des. 2015; 21: 3280-3297.