脂質異常症は非定型抗精神病薬の有害事象としてよく知られているが、各非定型抗精神病薬のリスクを定量的に比較した研究は少ない。医薬品医療機器総合機構(PMDA)の竹内 由則氏らは、連続した疫学調査を用い、日本で承認されている非定型抗精神病薬の使用に関連する脂質異常症のリスクを比較評価した。Drug safety誌オンライン版2015年5月23日号の報告。
研究グループは、日本で承認されている9種類の非定型抗精神病薬(リスペリドン、パリペリドン、ペロスピロン塩酸塩、ブロナンセリン、クロザピン、オランザピン、フマル酸クエチアピン、アリピプラゾール、ゾテピン)を分析するために、健康保険請求データを用い、sequence symmetry analysis (SSA)を行った。曝露群は、非定型抗精神病薬と脂質異常症治療薬の両方が投与された患者の調剤記録より検出した。調剤パターンの時間的傾向で調整し、個々のおよびすべての非定型抗精神病薬の調整順序比(ASR)と95%CIを計算した。
主な結果は以下のとおり。
・オランザピンのみが、脂質異常症の発症増加と有意に関連していた(ASR 1.56、95%信頼区間[CI]:1.25~1.95)。
・リスペリドン(1.01、95%CI:0.80~1.27)、ペロスピロン塩酸塩(0.93、95%CI:0.63~1.39)、ブロナンセリン(0.83、95%CI:0.52~1.33)、フマル酸クエチアピン(0.93、95%CI:0.73~1.18)、アリピプラゾール(1.02、95%CI:0.82~1.26)のASRは約1.0であった。
・パリペリドンとゾテピンは、サンプルサイズが小さいため、不安定な推定値(wide Cls)であった。
出典
Takeuchi Y, et al. Drug Saf. 2015 May 23. [Epub ahead of print]