注意欠如多動症(ADHD)の成人における、不眠症の有病率と臨床サブタイプ、現在のADHD症状、中枢神経刺激薬治療との関連について、ノルウェー・Haukeland University HospitalのE.J.Brevik氏らが調査を行った。Acta psychiatrica Scandinavica誌オンライン版2017年5月26日号の報告。
DSM-IV基準に従って診断された成人ADHD患者268例(平均年齢:38.1歳)および、ランダムに選択されたコントロール群202例(平均年齢:36.5歳)を対象とし、診断情報、症状評価尺度、治療歴を収集した。不眠症は、Bergen Insomnia Scale(BIS)で測定した。ADHD症状の自己評価には、成人ADHD自己評価尺度を用いた。
主な結果は以下のとおり。
・不眠症は、成人ADHD(66.8%)においてコントロール群(28.8%)よりも頻繁に認められた(p<0.001)。
・不眠症は、ADHD不注意優勢型(55.6%)よりも混合型(79.7%)において、より好発していた(p=0.003)。
・自己評価による現在のADHD症状では、不注意と不眠症は強く相関していた。
・現在ADHDに対して中枢神経刺激薬を使用している患者では、使用していない患者と比較し、不眠症の総スコアが低かった(p<0.05)。
著者らは「不眠症は、ADHD成人において非常に一般的である。中枢神経刺激薬を現在使用している患者の不眠症スコアが低いことから、中枢神経刺激薬は、成人ADHDの不眠症の悪化と関連していないことが示唆された」としている。
出典
Brevik EJ, et al. Acta Psychiatr Scand. 2017 May 26. [Epub ahead of print]