注意欠如多動症(ADHD)は、診断された症例の半数において成人期まで症状が持続する神経発達障害と考えられている。現在、疾患の経過に関連する因子を明らかにするエビデンスは得られていない。ブラジル・リオグランデドスール連邦大学のArthur Caye氏らは、ADHD症状の成人期までの持続を予測するため、小児期のリスクマーカーに関する文献を検索し、システマティックレビューを行った。European child & adolescent psychiatry誌オンライン版2016年3月28日号の報告。
著者らは、2万6,168件のアブストラクトを検討し、72件のフルテキストレビューを選択した。6件の集団ベースのレトロスペクティブサンプルと10件の臨床フォローアップ研究を含む16件の研究データを同定した。少なくとも3件の研究により評価された要因について、メタ分析を行った。
主な結果は以下のとおり。
・ADHD症状の成人期までの持続を予測する小児期の因子は、ADHD重症度(OR:2.33、95%CI:1.6~3.39、p<0.001)、ADHD治療(OR:2.09、95%CI:1.04~4.18、p=0.037)、素行症の併存(OR:1.85、95%CI:1.06~3.24、p=0.030)、うつ病の併存(OR:1.8、95%CI:1.1~2.95、p=0.019)であった。
出典
Caye A, et al. Eur Child Adolesc Psychiatry. 2016 Mar 28. [Epub ahead of print]