県立広島大学の藤巻 康一郎氏らは、統合失調症患者の長期入院に対する、陰性症状と主要な指標との関連を調査した。また、陰性症状の臨床的決定要因の解明についても検討を行った。Psychiatry research誌オンライン版2017年9月24日号の報告。
指標因子には、年齢、罹病期間、入院期間、発症年齢、教育年数、喫煙状態、BMI、血清トリグリセリド濃度、総コレステロール、尿酸、心電図によるQTc間隔持続時間、抗精神病薬および抗コリン作用薬の等価換算量、神経認知機能、薬物誘発性錐体外路症状、不随意運動、精神症状を用いた。これらの因子と陰性症状との関連を調査するため、スピアマンの順位相関係数を算出し、回帰分析を行った。
主な結果は以下のとおり。
・陽性症状は、BPRSで評価した陰性症状と正の相関が認められた。
・発症年齢は、陰性症状と負の相関が認められた。
・重回帰分析では、非定型抗精神病薬の等価換算量と陽性症状が、陰性症状を予測することが示された。
著者らは「陰性症状の重症度の主要な指標であるこれらの予測因子に対して理解を深めることは、慢性期統合失調症の治療プログラム再考に役立つであろう」としている。
出典
Fujimaki K, et al. Psychiatry Res. 2017 Sep 24. [Epub ahead of print]