統合失調症における再発予防は、重要な目標である。しかし、統合失調症患者は抗精神病薬の服薬アドヒアランスが不良であり、それは度重なる再入院や実質的な治療費の負担をもたらす。イタリア・ASST-Monza Ospedale San GerardoのEnrico Biagi氏らは、統合失調症に対する長時間作用型持効性注射剤(LAI)抗精神病薬の文献レビューを行った。Advances in therapy誌2017年5月号の報告。

LAI抗精神病薬の開発以降に発表された臨床データをレビューし、統合失調症におけるLAI(とくにアリピプラゾールに焦点を当てた)と経口抗精神病薬の有効性の比較を調査した。エビデンスは、説明的な試験デザインと同様な、自然主義的/実用的な研究より抽出され、著者らの臨床経験により裏付けられた。

主な結果は以下のとおり。

・LAI抗精神病薬は経口剤よりも利点があり、第1選択薬としての使用や若年患者への使用において良好なエビデンスが存在する。
・主な第III相試験によると、アリピプラゾール月1回400mg(AOM400)は、効果的かつ忍容性が良好で、服薬アドヒアランスが高く再発率は低いとされている。
・日常的な臨床実践をより代表する「自然主義的」試験デザインである最近の無作為化試験では、AOM400は良好な忍容性を示し、全体および35歳以下の若年患者でパリペリドンLAIよりも有効性が有意に高かった。

著者らは、「伝統的な臨床試験における有効性の“全スペクトラム”に及ぶ結果と、より自然主義的で実在の臨床実践における有効性の概念を包含する結果は、統合失調症全般における有用な長期治療選択肢としてAOM400の使用を支持していた。AOM400は、服薬アドヒアランスが不良または経口抗精神病薬治療が不十分な場合だけでなく、治療コースの初期段階においても有用である」としている。

出典

Biagi E, et al. Adv Ther. 2017;34:1036-1048.