双極性障害は世界的障害の要因トップ10に位置する疾患であり、高い医療コストがかかっている。これまでの研究では、心理療法と併用した気分安定薬による治療は、有意な再発率低下や入院率低下をもたらすことが示唆されている。しかし、科学的根拠に基づき十分に検討されていない心理社会的介入がある。オーストリア・グラーツ医科大学のTanja Macheiner氏らは、双極性障害患者に対するアジュバント心理社会学的介入の有効性を評価した。Journal of affective disorders誌オンライン版2017年6月27日号の報告。

MESHデータベースより2003~15年に発表されたさまざまなタイプのアジュバント心理社会学的グループ介入に関する研究をレビューし、メタ分析による双極性障害患者の再発率に関する有効性を評価した。

主な結果は以下のとおり。

・メタ分析には、24の介入グループが含まれた。
・薬物療法と心理社会学的療法による治療群の75%は、薬物療法のみの治療群よりも再発リスクが低いことが示された。
・メタ分析には、疾患経過や試験デザインに関するさまざまなフェーズにおける多くの臨床試験が含まれており、分析した各介入研究数はバランスがとれておらず、多くの研究がエピソード回数や再発に焦点が当てられていた。

著者らは「双極性障害患者に対するアジュバント心理社会学的介入は、患者やその家族、医療システムにおけるコスト削減に不可欠であると思われる。しかし、異なる心理社会学的介入の有効性および影響因子の評価には、さらなる研究が必要である」としている。

出典

Macheiner T, et al. J Affect Disord. 2017 Jun 27. [Epub ahead of print]