精神科における薬物療法では、併用療法が多く用いられているにもかかわらず、配合剤は一般的に利用されていない。スタッフォードシャー大学のSaeed Farooq氏らは、臨床での配合剤の使用および有効性のエビデンスを検討した。Journal of psychopharmacology誌オンライン版2014年8月22日号の報告。

主要なデータベースの系統的な検索から、9つの二重盲検ランダム化比較試験を抽出した。これらの試験より、単一製剤と配合剤を比較した15の結果が得られた(プラセボ比較を含む)。これらの試験における全症例数は2,827例であった(配合剤群:976例、比較群:1851例)。2試験を除き、用いられた配合剤は1種類であった(オランザピンとフルオキセチン[OFC])。

主な結果は以下のとおり。

・すべての配合剤による治療は、単剤治療よりも優れていた。うつ症状改善の標準化平均差(SMD)は-0.29 [CI:-0.43~-0.14]であった(p<0.001)。
・サブグループ解析では、双極性うつ病に対しOFC配合剤は単剤治療よりも優れていた(SMD:-0.32 [CI:-0.45~-0.19] 、p<0.001)。また、治療抵抗性うつ病でも同様であった(SMD:-0.29 [CI:-0.49~-0.08]、p<0.005)。
・しかし、境界性パーソナリティ障害や大うつ病性障害では有意差は認められなかった。

配合剤は有効性および治療アドヒアランスの向上において、重要なメリットをもたらすことが示唆された。しかし、精神医学においては固定用量配合剤の研究開発には制限がかかると考えられる。

出典

Farooq S, et al. J Psychopharmacol. 2014 Aug 22. [Epub ahead of print]