これまでの研究では、境界性パーソナリティ障害(BPD)、パニック発作(PA)、パニック障害(PD)といった個々の疾患と自殺企図との関係は明らかされている。しかし、併発した際の自殺企図との関係はよくわかっていない。カナダ・マニトバ大学のDanielle L Turnbull氏らはこれらの疾患の併存による影響を検討した。The Journal of nervous and mental disease誌2013年2月号の報告。
対象患者は、アルコールおよび関連疾患に関する全国疫学調査(NESARC)のWEVE2のデータより抽出した34,653例を用いた。BPD(562例)、PA(253例)、PD(255例)、BPD+PD(146例)、BPD+PA(119例)と自殺企図との関係についてロジスティック回帰分析を用いて検討した。
主な結果は以下のとおり。
・BPD、PD、PAは自殺企図と関連していた。
・BPD+PD またはBPD+PAでは、BPD単独と比較し、自殺企図との関連がわずかではあるが増加した。
・自殺企図との関連は、感情調整不全をコントロールしたのち大幅に減少した。
・境界性パーソナリティ障害では、自殺予防を見据え、感情調節不全のコントロールが重要であると考えられる。
出典
Turnbull DL, et al. J Nerv Ment Dis. 2013; 201: 130-135.