アスリートに精神科薬物を処方する場合、副作用や安全上の懸念、そしてアンチドーピングポリシーをとくに考慮することが重要であるものの、アスリートと連携した精神科医の処方設定を解説しているのは2000年の1報だけである。米国・ウィスコンシン・スクール・オブ・メディスン・アンド・パブリック・ヘルス大学のClaudia L Reardon氏らは、アスリートと連携したプライマリケア医、精神科医、その他の臨床医の処方を扶助するため、前述の報告をアップデートした。The Physician and sportsmedicine誌オンライン版2016年8月2日号の報告。
2016年に国際スポーツ精神医学会(ISSP)の医師会員に対し、さまざまな精神状態のアスリートと連携した精神科薬物の処方選択について、匿名のWebベース調査をメールで依頼した。
主な結果は以下のとおり。
・ISSP医師会員の40%(40/100人)が調査を完了した。
・アスリートに使用されたカテゴリ別トップ薬剤は以下のとおり。
不安や双極スペクトラム障害のないうつ病:bupropion
全般性不安障害:エスシタロプラム
不眠症:メラトニン
ADHD:アトモキセチン
双極スペクトラム障害:ラモトリギン
精神症状:アリピプラゾール
・アスリートに処方された精神科薬物は、比較的活力的であり、沈静、体重増加、心臓系副作用、振戦を起こす可能性が低い薬剤が好まれる傾向にあった。
・アスリートへの処方は、一般患者への処方傾向とは逸脱しており、さまざまな要因が考慮されている。
出典
Reardon CL, et al. Phys Sportsmed. 2016 Aug 2. [Epub ahead of print]