アリピプラゾール持続性注射剤(ALAI)が臨床使用可能となった。オーストラリア・モナッシュ大学のNicholas A Keks氏らは、ALAIの使用を決定する際の臨床医を支援するため本研究を行った。Australasian psychiatry誌オンライン版2016年2月23日号の報告。
主なまとめは以下のとおり。
・アリピプラゾールは、過鎮静を起こしにくく、代謝プロファイルも比較的良好であり、プロラクチンを低下または上昇させない特長を有するドパミンパーシャルアゴニストである。
・アリピプラゾールは10年以上使用されており、統合失調症治療に有用な選択肢として、多くの臨床医に認識されている。
・ALAIは、水溶性結晶アリピプラゾール懸濁液で、初回筋肉内注射後、定常状態に達するまで5~7日間を要する薬剤である。
・毎月注射を行うことで、4ヵ月で定常状態に達する。
・研究では、ALAIは、アリピプラゾール応答患者に有効であることが実証されている。
・ALAIは、一般的に忍容性が良好だが、経口投与よりも錐体外路系の副作用を起こしやすい傾向がある。
・ALAIは、他の持続性注射剤との比較は行われていない。
・推奨される開始用量は400mgだが、大幅な個人差による用量設定が必要な可能性がある。
・各患者における至適用量の最適化は、最高の有効性と忍容性のために必要である。
・ALAIは、現時点では、持続性注射剤が必要なアリピプラゾール応答患者に適切である。
・しかし、臨床医は、とくに他の持続性注射剤で体重増加や高プロラクチン血症が問題となる患者に投与する可能性がある。
出典
Keks NA, et al. Australas Psychiatry. 2016 Feb 23. [Epub ahead of print]