アルツハイマー型認知症(AD)の罹患率は上昇し続けているが、認知機能障害への治療選択肢は限られている。アセチルコリンエステラーゼ阻害剤(AChEI)は、認知機能低下に対しベネフィットをもたらすことを目指しているが、有害事象がないわけではない。最近では、新用量や新剤形が承認され、処方する前に各薬剤の安全性プロファイルを注意深く考慮する必要がある。カナダ・トロント大学のDana Mohammad氏らは、3種類のAChEIについて専門家による安全性評価を行った。Expert opinion on drug safety誌オンライン版2017年7月12日号の報告。

対象薬剤は、ADのさまざまな段階での治療に承認されたAChEIである、ドネペジル、ガランタミン、リバスチグミンの3種類の薬剤。数多くの臨床研究および市販後の研究より、AD治療におけるこれらのAChEIの安全性、有効性、忍容性を評価した。薬物動態データベース、薬物相互作用、処方カスケード、治療中止率を含むトピックスについても検討した。

専門家の主な意見は以下のとおり。

・軽度、中等度、高度のAD患者に対するAChEIの使用は、認知、機能、行動の適度な改善をもたらす。
・AChEIを用いたADの薬理学的治療は、軽度の有害事象と関連する。
・患者個々に最適な投与経路を決定する際には、剤形の相違を考慮する必要がある。
・AChEIの中断は、認知機能障害の悪化と関連している可能性があるため、慎重に監視しなければならない。

出典

Mohammad D, et al. Expert Opin Drug Saf. 2017 Jul 12. [Epub ahead of print]