入院患者においてしばしば問題となる「せん妄」。せん妄は、ほぼすべての診療科で遭遇する可能性のある精神症状である。一般的にせん妄の治療には、抗精神病薬が用いられるが、Yang氏らは抗精神病薬リスペリドン(RIS)投与に加えて補助療法として「光療法」を行い、せん妄治療への影響を検討した。Gen Hosp Psychiatry誌オンライン版2012年6月18日の報告。

意識障害で精神科のコンサルテーションを受けた36例の せん妄患者を、RIS単独群16例とRIS+光療法群20例にランダムに割り付け、1~5日目の せん妄評価尺度(DRS)、せん妄の重症度評価尺度(MDAS)にて評価した(検査当日:ベースライン)。また、睡眠パラメータは睡眠ログにて測定した。

主な結果は以下のとおり。

・DRSとMDASの平均スコアは両治療群ともベースラインと比較し有意な改善を示した。
・RIS+光療法群では、RIS群と比較し有意なDRSスコアの減少を示したが(F=2.87、p=0.025)、MDASスコアは両群間で同等であった。
・RIS+光療法群では、RIS群と比較し総睡眠時間(F=2.07、p=0.037)および睡眠効率(F=2.79、p=0.029)が有意に改善した。
・せん妄治療におけるRIS+光療法は有用な選択肢であることが示された。

出典

Yang J, et al. Gen Hosp Psychiatry. 2012 Jun 18. [Epub ahead of print]