世界でうつ病の重症度に関する情報を含む項目を特定するための調査では、ハミルトンうつ病評価尺度17項目(HAM-D17)に由来した、HAM-D6が使用されるようになり、幅広い研究に用いられてきた。デンマーク・コペンハーゲン大学のN. Timmerby氏らは、HAM-D17およびモントゴメリー・アスベルグうつ病評価尺度(MADRS)と比較した、HAM-D6の臨床的特性のシステマティックレビューを行った。Psychotherapy and psychosomatics誌86号の報告。
PubMed、PsycInfo、EMBASEのデータベースより、システマティックレビューおよびメタアナリシスのための優先的報告項目のガイドラインに従ってシステマティックに検索を行った。非精神病性の単極性または双極性うつ病におけるHAM-D6およびHAM-D17またはMADRSの臨床的妥当性に関するデータを報告した研究を抽出した。
主な結果は以下のとおり。
・検索により681件が特定され、そのうち51件が包含基準を満たした。
・文献によると、HAM-D6がHAM-D17およびMADRSよりも優れていた点は以下であった。
●scalability(各項目は症候群の重症度に関する固有の情報を含む)
●transferability(scalabilityは、時間経過とともに、性別、年齢、抑うつ症状のサブタイプに関係なく一定)
●responsiveness(治療中の重症度の変化に対する感受性)
著者らは「HAM-D6の臨床的特性は、HAM-D17およびMADRSよりも優れていた。HAM-D6の有効性は研究と臨床の両面で実証されているため、スケールをより一貫して使用することにより、ある設定から他の設定への結果の置き換えが容易になる」としている。
出典
Timmerby N, et al. Psychother Psychosom. 2017;86:141-149.