大うつ病性障害(MDD)の新たなエビデンスが発表された。米国のメリーランド・スクール・オブ・ナーシング大学N. Jennifer Klinedinst氏らは、MDDとミトコンドリア生体エネルギー機能障害との関連についてレビューを行った。その結果、ミトコンドリア生体エネルギーとMDDとの関連を示す証拠はあったものの、治療には応用されていない現状を指摘し、さらなる研究の必要性を指摘した。Journal of Bioenergetics and Biomembranes誌オンライン版2014年9月28日号の掲載報告。

MDDは重大な公衆衛生問題であり、世界中で約3億5,000万人が影響を受けている。数十年にわたり研究が行われているが、MDDの病態生理は未確認のままであり、治療の効果は30~60%に限られている。研究グループは、MDDとミトコンドリア生体エネルギー機能障害との関連をレビューした。

主な内容は以下のとおり。

・MDDの病態生理学に関与するミトコンドリア生体エネルギー機能障害として、いくつかの経路の関与が示唆された。すなわち、遺伝的性質/ゲノム、炎症、酸化ストレス、神経可塑性の変化などである。
・ミトコンドリア生体エネルギー経路とMDDに関する議論は、散見されている。
・エビデンスは、現在使用されているさまざまな抗うつ薬のmito-toxicまたはmito-protectiveな影響に関してレビューされていた。
・一方で、単独または補助的なうつ軽減治療としてのミトコンドリア・モジュレーターなどについて、さらなる治療アプローチについて研究することへの示唆もみられた。
・ミトコンドリア生体エネルギー機能とMDDを結び付けるエビデンスは確実に存在するが、現状では、MDDをターゲットとした治療ガイドとして用いるための表現型またはバイオマーカーとしての研究は行われていない。また、MDD集団に関するミトコンドリア生体エネルギー機能の障害も判明していないことが明らかになった。

出典

Klinedinst NJ, et al. J Bioenerg Biomembr. 2014 Sep 28. [Epub ahead of print]