境界性パーソナリティ障害とも関連する感情調節困難は、うつ病や拒食症などのさまざまな精神障害の進展や持続に重要な役割を果たすと考えられてきた。しかし、これまでの研究では、感情調節困難の疾患特異性を詳細に理解できていなかった。Brockmeyer氏らは、女性における感情調整困難に関する調査を行った。Psychiatry Res誌オンライン版2012年8月18日号の報告。

大うつ病患者、拒食症患者、コントロール群(合計140名)を対象に、感情調整困難に関する調査を実施した。

主な結果は以下のとおり。

・大うつ病患者、拒食症患者は、コントロール群と比較して、感情の希薄化と変調、ならびに分化と経験に関わる重度の感情調節困難が認められた。
・大うつ病患者、拒食症患者は、共に感情の経験と分化に関する感情調節困難の変調が同程度、認められた。
・大うつ病患者は、拒食症患者と比較して、感情の減衰や調節に関する強い感情調節困難が認められた。
・感情調節困難は診断横断的な疾患であり、拒食症よりもうつ病において、より多く重度の感情調節困難を伴うという特徴が明らかになった。

出典

Brockmeyer T, et al. Psychiatry Res. 2012 Aug 18. [Epub ahead of print]